Q.「柿渋」とはどんな塗料ですか?
弊社でも塗料として使用する「柿渋」。
柿渋塗料についての特徴や色、施工事例をご紹介させていただきます。
「柿渋」とは平安末期から続く伝統的な天然塗料のことで
私たちの家づくりにおいても使用させていただくことがあります。
▲写真は大野町の熟成した柿ですが、「柿渋」はまだ青い未熟な柿を潰し、圧縮してできた汁を発酵させることでできます。
化学物質は一切含まれておらず、防水・防虫・防腐・消臭効果を与える効果をもつことから塗料や染料、時に民間薬として平安時代から重宝されています。
私たちが塗料として使用している柿渋は「無臭柿渋」といって、柿渋特有の臭いの元となるタンニン以外の成分を分離して取り除くことで臭いを解消した塗料です。
▲上の写真は檜材に柿渋塗料を塗っていますが、左が1回塗り後、右が2回塗り後です。
ヒノキ材に塗っていますが、塗ると淡いピンク色になり、ここからさらに経年変化によって濃くなります。
自然塗料ですので安心して塗っていただけることから、住まわれる施主様のご夫婦自ら塗られました。
この板は室内の天井に施工していきます。
柿渋ならではの色の変化は暮らしの愉しみの一つとなりそうです。
マンションリノベーションをさせていただいた金華山の見えるマンションリノベーションのお住まいでは、
天井の檜材と壁面のシナ材にも柿渋を塗ることによってそれぞれが深い色へ変化し、より落ち着いたインテリアになっています。
周囲の家具や小物たちの色とも相まって、優しい色に満ちたとても落ち着いた雰囲気です。
柿渋塗料は安価であったり、自家製造できたことから明治から昭和初期までは生活に密着していたそうです。
しかし、その後にニスやラッカー、ウレタンなどの塗料が出てくるとあまり注目されなくなりました。
物に余る現代では素材の特質や本質を見直す考えも多く、「柿渋」はあらためて見直されてきています。
私たちは柿渋が本物の素材であると共に、柿渋の自然で温かな色味が好きでお勧めしています。
また塗料を自分たちで塗ることによって、温かい部屋の雰囲気に囲まれた日々の暮らしはより豊かに感じ、
またこの先塗りたい時にもご自分たちで手を掛けていく選択もできると思います。
インテリアが温かく優しく感じられるのは、置かれている家具や小物、照明計画をはじめとして、こうした塗料にも影響されてきます。
柿渋塗料の仕上がりは見学会などを通して実際の家でもご体感いただけたらと思います。