敷地は、北に各務原アルプスと呼ばれる山脈が並び、周囲に田畑の多い長閑な場所に位置しています。
元々畑だった土地が3区画分譲販売されているところの中央の土地を選ばれ、弊社との設計が始まりました。
南北に長い78坪の敷地に対して一般的には建物を北側に寄せて南側を庭にすることが考えられますが、分譲地の中でも人目を気にすることなくプライベートな空間としてのお庭を実現するために家の中央部に「中庭」をつくりました。
中庭はキッチンダイニング、リビング、子ども部屋に面していて、来客時もすっきりと対応ができるようにパブリックゾーンと個室や洗面などの水回りが固まるプライベートゾーンを分けています。
中庭の開口部へ向けて小上がりにしているので、収納として利用したり、腰掛けて寛ぐ居場所にもなっています。窓際の日差しを受けながら読書をしたり手仕事をしたりする時間が温かく過ぎていきそうです。
リビングは一段下げることで空間を緩やかに仕分けました。
奥さまの在宅ワークを行うダイニング横のデスクスペースなど、体感的な居心地に変化をもたらす場所が様々あります。
仕事、家事、寛ぎ、休息…と様々な用途が交差する時間の中、中庭から射し込む光と影の変化は刻々を愉しませてくれると思います。
設計 松尾由紀
造園 fanlandscape
写真 野村宜弘