不破郡関ヶ原町の国道沿いの一角、隣地は杉や竹林が広がり南に続く山では東海道・山陽新幹線が通ります。
住居部分から離れた雑種地一帯には建主ご家族自らがコナラやクヌギの苗木を植えられました。小さな樹木が長年掛けて大きく育ち、やがて住まいが木々に囲まれていく、という壮大な計画をしています。
豊富な自然に囲まれた500坪の広大な敷地の特徴を生かし、外構計画として駐車スペースにロータリーを作り中心にエゴの木を植栽。玄関前から南にはケヤキやコナラなどの比較的成長が早く大きく育つ木を植え込みました。
建物は道路を背に向け、L型とすることで道路からの視線や車の流れの視界を遮り、開かれた環境で戸外の暮らしを楽しむ場所ができました。庭と隣地の雑木林を風景にして、LDKからソトへ視線が伸びやかに広がります。家と庭を共に考えてつくることによって豊かな場所が生まれました。リビングのソファはお庭を向いて。子供さんたちもウチとソトとを行ったり来たりしているそうです。リビングの正面のイロハモミジはちょうどお引き渡しの時に紅葉しはじめました。また奥に配置したナラの木は数年経つとドングリを落としてくれます。ご主人の趣味が「釣り」とあって道具を置かれる趣味の部屋もつくりました。ステンレスキッチンで釣ってきたお魚を捌く姿やご家族やご友人もお呼びしてそれぞれの居場所で寛ぐ姿を想像しています。
庭木と周囲の自然が相まって住まいが次第に木々に囲まれていく様子を今後も見守っていきたいです。
設計 松尾由紀
造園 fanlandscape
写真 野村宜弘